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膀胱炎は放っておいて大丈夫?腎盂腎炎による入院リスクと受診目安 

公開日

2026.8.11

更新日

2026.8.10

クリニックで医師に相談する女性のアイキャッチ画像(膀胱炎の受診イメージ)

こんにちは!うつのみやLA泌尿器科クリニック 院長の鈴木です。


🌀 膀胱炎のような症状があるけれど、様子を見ても大丈夫?

🌀 膀胱炎が悪化すると、入院することもあるの?

こうした不安や疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。

膀胱炎の多くは適切な治療で改善します。ただし、一部では細菌が腎臓まで広がって腎盂腎炎を起こし、入院が必要になることもあります。
膀胱炎に似た症状が、ほかの病気によって起こることもあるため、症状だけで自己判断しないことが大切です。

今回は、膀胱炎を放置した場合のリスクや悪化のサイン、医療機関を受診する目安について、わかりやすくお伝えします。

🔸 膀胱炎は放っておいて大丈夫?

排尿時の痛みや頻尿、残尿感、尿意切迫感(急に起こる我慢しにくい尿意)など、膀胱炎が疑われる症状を放置するのは避けたほうがよいでしょう。その理由は、細菌が腎臓まで広がって腎盂腎炎を起こす可能性や、他の炎症による症状の可能性もあるためです。

膀胱炎では、通常は発熱を伴いません。
ですが、腎盂腎炎を発症すると、発熱や寒気、腰・背中・脇腹の痛み、吐き気などが現れ、点滴や入院が必要になる場合もあります。さらに重症化すると、感染によって臓器の働きに障害が起こる「敗血症」に至るおそれもあるため、早めの受診が大切です。

「膀胱炎くらい」と我慢せず、症状が軽いうちに医療機関へ相談しましょう。

🔸 腎盂腎炎とは?治療と入院が必要になるケース

解剖図:腎臓・尿管・膀胱・尿道からなる尿路と、細菌が尿道から腎臓へ上っていく感染の流れを示した図

腎臓のはたらきと炎症について

腎臓は、血液をろ過し、老廃物や余分な水分を尿として排出する臓器です。つくられた尿は腎盂に集まり、尿管、膀胱、尿道を通って体の外へ排出されます。

膀胱に細菌が感染して炎症が起こるのが「膀胱炎」です。一方、「腎盂腎炎」は、尿道から入った細菌が膀胱、尿管をさかのぼり、腎盂や腎実質まで感染した状態をいいます。ただし、すべての膀胱炎が腎盂腎炎に進むわけではありません。

腎盂腎炎の治療

腎盂腎炎は、主に抗菌薬で治療します。全身状態が比較的よく、水分や薬を口からとれる場合は、飲み薬による外来治療が可能です。

一方、吐き気・嘔吐で水分や薬をとれない場合や、脱水、強い倦怠感がみられる場合は、入院による点滴・抗菌薬治療が必要です。

また、尿路結石などで尿の通り道がふさがれているときは、尿管に細い管(尿管ステント)を入れ、腎臓にたまった尿を膀胱へ流す処置を行うこともあります。

🔸 こんなサインは要注意|腎盂腎炎を疑う症状と受診目安

症状図:発熱・寒気・腰や背中の痛み・吐き気・だるさなど、腎盂腎炎を疑う症状のチェックリスト

次のような症状があるときは、腎盂腎炎の可能性があります。

✅ 発熱(高熱になることもあります)
✅ 強い寒気や、体がガタガタするようなふるえ

✅ 腰や背中(脇腹の後ろあたり)の痛み

✅ 吐き気や嘔吐

✅ 強いだるさ

膀胱炎のような症状がないまま、腎盂腎炎の症状が出ることもあります。
特に、発熱と腰・背中・脇腹の痛みが重なる場合や、膀胱炎の治療を始めても症状が改善しない、または悪化している場合は、その日のうちに医療機関を受診してください。

状態に合わせた考え方

妊娠中の方は、膀胱の感染が腎臓まで広がりやすいため、注意が必要です。症状が軽くても産婦人科へ相談してください。発熱や腰・背中の痛みがある場合は、その日のうちに連絡しましょう。

また、糖尿病のある方や、尿路結石などで尿の流れが妨げられている方は、尿路感染を起こしやすく、重症化するリスクも高くなります。


なお、男性で、発熱に加えて排尿しにくい、会陰部が痛む、尿が出ないなどの症状がある場合は、前立腺炎の可能性もあります。


いずれにしても、該当する症状がある方は、泌尿器科やかかりつけ医に相談しましょう。

🔸 膀胱炎・腎盂腎炎の予防に役立つポイント

女性は男性より尿道が短く、尿道口が肛門に近いため、腸内細菌が尿道から入りやすく、膀胱炎を起こしやすいとされています。性別にかかわらず、以降に紹介する3つのポイントを意識して予防していきましょう。

適度に水分をとる

適度に水分をとり、排尿することは、尿路から細菌を排出する助けになります。ただし、心臓や腎臓の病気などで水分制限を受けている方は、医師の指示に従ってください。

尿意を我慢しない

尿意を感じたら、長時間我慢せずに排尿しましょう。尿を長時間ためたり、残尿があったりすると、細菌が膀胱内にとどまる時間が長くなるため、増えてしまう可能性があります。我慢せず、慌てず排尿することが大切です。

症状が出たら早めに受診する

市販薬によって排尿時の痛みや残尿感が一時的に軽くなることはありますが、原因となる細菌を十分に治療できるとは限りません。
また、膀胱炎と似た症状が、腎盂腎炎や尿路結石などで起きることもあります。症状が続く場合は、市販薬だけで様子を見ず、医療機関で尿検査を受けましょう。

水分をとる・尿意を我慢しない・早めに受診するという、膀胱炎と腎盂腎炎を防ぐ3つのポイント

🔸 受診時の検査と診療について

膀胱炎や腎盂腎炎が疑われる場合は、症状や経過を確認したうえで、尿検査を行います。必要に応じて、尿培養検査や血液検査、画像検査を追加することもあります。不安なことがあれば、診察のときに遠慮なくお伝えください。

当院では、女性医師による診療日も設けています。男性医師には相談しづらい方も、症状を我慢せずにご相談ください。

🔸 よくあるご質問

Q. 生理中でも尿検査を受けられますか?

A. 生理中でも、尿検査を受けることはできます。ただし、経血が混ざると検査結果に影響することがあるため、受付や診察のときに生理中であることをお伝えください。発熱や腰・背中の痛みがあるときは、生理が終わるのを待たずに受診しましょう。

🔸 まとめ|気になる症状は、早めに相談を

膀胱炎のすべてが腎盂腎炎になるわけではありませんが、一部では細菌が腎臓へ広がり腎盂腎炎を起こしてしまうことがあります。発熱や強い寒気、腰・背中の痛み、吐き気・嘔吐などが、腎盂腎炎の主なサインです。

だからこそ、症状が軽いうちに受診することが大切です。「膀胱炎くらい」と我慢せず、排尿時の痛みや頻尿、残尿感があるときは、早めにご相談ください。

すでに発熱や腰・背中の痛みをともなっているときは、腎盂腎炎を発症しているおそれがあります。様子を見ず、その日のうちに医療機関を受診しましょう。

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このコラムが、少しでも多くの方にとって、膀胱炎の症状を我慢せず、早めに医療機関へ相談するきっかけになればうれしいです。


【参考文献】

  1. 日本泌尿器科学会「排尿症状を伴う発熱がある」

  2. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK). “Definition & Facts of Bladder Infection in Adults.” Last reviewed April 2024.

  3.  NIDDK. “Symptoms & Causes of Kidney Infection(Pyelonephritis).” Last reviewed October 2024.

  4. NIDDK. “Treatment for Kidney Infection(Pyelonephritis).” Last reviewed October 2024.

  5.  日本集中治療医学会・日本救急医学会「日本版敗血症診療ガイドライン2024」

  6. NIDDK. “Your Kidneys & How They Work.” Last reviewed June 2018.

  7.  NIDDK. “Diagnosis of Kidney Infection(Pyelonephritis).” Last reviewed October 2024. 

  8. 日本泌尿器科学会・日本尿路結石症学会・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 編.『尿路結石症診療ガイドライン 第3版』医学図書出版,2023,p.61,pp.82–83.

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