Column
公開日
2026.8.7
更新日
2026.8.6

こんにちは!うつのみやLA泌尿器科クリニック 院長の鈴木です。
🌀 HPVワクチンって女性だけが接種するもの?
🌀 パートナーが接種したけど、男性の自分には関係ないのでは…
このように感じる方もいらっしゃると思います。
HPVワクチンは「女性が子宮頸がんを防ぐためのもの」というイメージが強いのですが、HPVは男性にも関わるウイルスです。
今回は、男性でHPVが関係する病気、接種で防げること・防げないことをまとめて解説します。
ご自身の状況に照らして、接種を考えるきっかけになるとうれしいです。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、とてもありふれたウイルスです。
女性の子宮頸がんの原因になることで知られているHPVですが、実は男性にも無縁ではありません。
国内の泌尿器科を受診した日本人男性の4人に1人がHPVに感染しているという報告もあります。
感染しても、多くは免疫の働きによって自然に排除されます。
一部で感染が長く続くと、男性の肛門がんや尖圭コンジローマ、陰茎がん、中咽頭がんなどの原因になることもあるため、注意が必要なウイルスです。

肛門がんのうち、扁平上皮がんではHPVの感染が関係する割合が多いと報告されています。HPVが細胞の増殖を適切に抑えるブレーキを壊すことで、異常な増殖を引き起こし、がん化するとされています。
性器やその周辺にできるイボで、痛みやかゆみはほとんどないことが多いです。
がんではありませんが、放置するとイボが広がる可能性があることや、再発で治療を繰り返す場合があるため、生活の負担になることがあります。
比較的まれですが、陰茎がんの半数でHPVが関わるとされています。
中咽頭がん(のどの奥にできるがん)は男性に多く、日本でも罹患率が長期的に上昇しています。
部位により異なりますが、中咽頭がんの半数近くは、特定の型のHPV感染が原因とされています。
HPVワクチンは子宮頸がんの予防として紹介されることが多いため、女性向けのものと思われがちです。でも、HPVは男性にも無関係ではありません。
ここでは、男性がHPVワクチンを受ける意味を2つご紹介します。
9価HPVワクチンは、2025年に男性への接種が承認され、肛門がんと尖圭コンジローマも予防対象に加わりました。
これらについては、接種による予防効果が報告されています。
男性の接種によってワクチンに含まれる型のHPV感染が減れば、社会全体でHPVが広がる機会を減らす可能性があります。
なお、特定のパートナーの子宮頸がんを防ぐと保証できるものではありません。
また、男性自身の病気を予防することに加え、HPV感染の広がりを減らすという点でも、接種を検討する意味があります。
HPVワクチンの接種で大切なのは、効果を正しく理解しておくことです。
次の3点を押さえておきましょう。
✅ がんを「完全に」防ぐものではない
ワクチンで防げるHPVの型は限られています。
接種した後も、必要な検診や予防行動を続けることや、気になる症状があれば診察を受けることが大切です。
✅ すでに感染したHPVを排除するわけではない
ワクチンは、すでに感染しているHPVを排除したり、できている病変を治したりする効果はありません。
一方、まだ感染していないワクチン対象型を防げる可能性はあります。
期待できる効果は、年齢やこれまでの感染状況によって異なります。
✅ 陰茎がん・中咽頭がんへの予防効果は、まだ十分に確立していない
陰茎がんや中咽頭がんはHPVと関係することはわかっていますが、国内ではワクチンの予防対象として承認されておらず、発症予防の根拠はまだ限られています。

2026年8月現在、男性は国の定期接種の対象ではなく、原則として自費です。
ただし、自治体独自の助成がある場合もあるため、お住まいの市区町村へご確認ください。
接種のタイミングとしては、HPVに感染する前に接種することで、より高い予防効果が期待されます。
性交渉の経験後でも、まだ感染していない型を防げる可能性があるため、年齢や状況に応じて検討します。
年齢・費用・回数・スケジュール・副反応など、気になる点や迷われることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
お一人おひとりのご状況にあわせて、医師が詳しくご説明いたします。
A. 感染前ほどの効果は期待しにくいものの、まだ感染していない型を防げる可能性があるという観点では、接種する意味があります。接種前に検査が必要かどうかは、医師へご確認ください。
A. HPVワクチンの接種対象は、男性も9歳以上です。9〜14歳では2回接種を選べるため、接種時期は早めに医師へご相談ください。男性は現在、国の定期接種の対象ではありません。
A. パートナーの接種は心強いことですが、ご自身の肛門がんや尖圭コンジローマのリスクを防ぐという、本人への接種の意味は残ります。
「自分のため」という視点でも検討してみてください。
HPVは女性だけの問題ではなく、男性でも肛門がんや尖圭コンジローマ、陰茎がん、中咽頭がんなどに関わるウイルスです。
9価ワクチンは男性でも肛門の扁平上皮がん・尖圭コンジローマの予防が期待できます。でも、HPV感染が関与するすべてのがんを防げるわけではなく、HPVに感染する前の接種がより効果的とされています。
現在、男性は任意接種のため、自費での接種となります。
ご自身の年齢や生活、費用のことも考えながら検討しましょう。
「自分にも関係あるのかもしれない」と感じたなら、それが考え始める良いきっかけです。
気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
一緒に、あなたに合った選択を考えていきましょう。
では、次回のコラムもお楽しみに!
【参考文献】
Matsuzawa Y, et al. Prevalence, Genotype Distribution, and Predictors against HPV Infections Targeted by 2-, 4-, 9-Valent HPV Vaccines among Japanese Males. Vaccines, 2020, 8巻, 2号, p221
Centers for Disease Control and Prevention About HPV
Centers for Disease Control and Prevention Cancers Caused by HPV
zur Hausen H. Papillomaviruses Causing Cancer: Evasion From Host-Cell Control in Early Events in Carcinogenesis. Journal of the National Cancer Institute, 2000, 92巻, 9号, p690-698
厚生労働省 尖圭コンジローマ
国立がん研究センター 子宮頸がんとその他のHPV関連がんの予防
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 HPV関連中咽頭がん 世界で急増中!ワクチン接種が“予防の要”
厚生労働省 第31回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 資料3-1「HPVワクチンの男性への接種について」2025
Medeiros R, et al. Human Papillomavirus Vaccination in Males: The Need for a Change in Portuguese Policies. Acta Médica Portuguesa, 2020, 33巻, 3号, p198-201
厚生労働省 9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(シルガード9)について
MSD株式会社 シルガード9水性懸濁筋注シリンジ 添付文書
Harder T, et al. Efficacy, effectiveness and safety of vaccination against human papillomavirus in males: a systematic review. BMC Medicine, 2018, 16巻, 1号, p110
Centers for Disease Control and Prevention HPV Vaccination
東京都保健医療局 HPVワクチンの男性への接種について
厚生労働省 ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~
ご予約はオンラインで、
24時間受付中です。
当院は予約優先制です。予約なしでご来院された場合、 待ち時間が発生することがあります。ご了承ください。
ネット予約はこちらから